近江八景「瀬田の唐橋」は「急がば回れ」の語源だった!

瀬田の唐橋 全景 近江八景

歌川広重の浮世絵「近江八景」に「瀬田の夕照」として描かれている「瀬田(せた)の唐橋」は、全長が約227mもある大きな橋で日本三名橋のひとつに指定されています。「瀬田の長橋」とも呼ばれ、瀬田川に架かる大きな橋です。

瀬田の唐橋の歴史は古く、さまざまなエピソードがあります。

このページでは瀬田の唐橋の歴史や見どころについてご紹介します。

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唐橋を制するものは天下を制する

瀬田の唐橋の歴史は古く、667年の大津宮遷都の際に架けられたと言われています。壬申の乱(672年)で近江朝廷軍だった大友皇子が大海人(おおあま)皇子軍に瀬田橋の戦いで敗れたとの記載が日本書記にあります。

また、764年に起こった藤原仲麻呂(なかまろ)の乱では、孝謙(こうけん)上皇軍が仲麻呂軍の近江国に入るのを防ぐために瀬田橋を焼き払ったと言われています。

その後も次のように瀬田の唐橋はさまざまな戦いの舞台になってきました。

  • 1183年……源義仲と平家の戦い
  • 1184年……源義経と源義仲の戦い
  • 1121年……承久の乱 後鳥羽上皇率いる軍と鎌倉幕府軍が戦う
  • 1336年……建武の戦い 足利義直軍と名和長利軍との闘い
  • 1351年……観応の騒乱 

瀬田の唐橋の歴史

武田信玄も臨終の床の中で「瀬田の橋に風林火山の旗を立てよ」と命じたほどで、東国から都(みやこ)を目指し、天下を取るには瀬田の唐橋を制するのが条件だったのでしょう。

そういった背景があり「唐橋を制するものは天下を制する」と言われるようになりました。

本能寺の変 明智光秀軍の安土城襲撃を阻止

織田信長が現在の位置に橋を架けました。

1582年、本能寺の変のあと、明智光秀軍は安土城に向かおうと瀬田の唐橋近くまで来ましたが、当時の瀬田城主・山岡景隆がそれを阻止しようと唐橋と瀬田城を焼いてしまいます。

それによって光秀の軍は足止めされ、橋をかけ直すのに3日かかったと言われています。

なお、この焼失後に瀬田の唐橋を再興したのが豊臣秀吉で、現在のような大きな橋と小さな橋の2つの構造になったそうです。

こちらは小さい方の橋です。
瀬田の唐橋 

瀬田の唐橋を詠んだ芭蕉の句

松尾芭蕉は瀬田の唐橋を何度も訪れて俳句を詠んでいます。

「五月雨(さみだれ)に 隠れぬものや 瀬田の橋」

瀬田の唐橋 芭蕉の句

これは五月雨で琵琶湖や周辺の景色がかすんでいる中で、瀬田の唐橋だけは隠れることなく見えているという情景を詠ったものです。

瀬田の唐橋 芭蕉の句

急がばまわれ

「急がば回れ」ということわざがあります。これは「急ぐときほど安全で確実な道を行く方がいい」という意味で、「急(せ)いては事を仕損じる」と同じ意味です。

これの語源は「もののふの矢橋(やばせ)の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」という短歌に由来します。「もののふ」とは武士のことですが、以前は京都に行くには琵琶湖を船で行く方法があり、滋賀県草津市の「矢橋の港」から出発しました。

その方法が近道なのですが、比叡山から吹き下ろす強風で船がなかなか出せず、出航しても転覆することも多々ありました。そのため、近道と思う方法が実は時間がかかってしまう。そのため、「急ぐなら瀬田の唐橋を渡った方が安全で確実ですよ」という意味で「急がば回れ」という言葉になりました。

現在の瀬田の唐橋は交通量が多く、よく渋滞します。そのため、急ぐなら電車の方が早そうです(笑)

ちなみに瀬田の唐橋と平行してJRの線路も通っています。

瀬田川にかかるJR

瀬田の唐橋は歩いても渡れる

瀬田の唐橋は県道2号線になっていて交通量が多いのですが、歩行者用のスペースもあるため歩いて渡れます。

瀬田の唐橋 歩行者専用ゾーン

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瀬田の唐橋の見どころ

瀬田の唐橋は悠然とした姿が魅力的です。また、琵琶湖から流れ出る瀬田川を見るのもおすすめです。

瀬田川は琵琶湖から流れ出るたったひとつの河川で、その後宇治川、淀川と名前を変えて大阪湾に注いでいます。

瀬田の夕照

広重の浮世絵「近江八景」では、「瀬田の夕照」が紹介されています。夕日が川面に照る美しい様子を描いたものなのでしょう
こちらが夕方に撮影した瀬田の唐橋です。

瀬田の夕照

写真よりも実物の方がずっと美しいので、ぜひ現地でご覧になってみてください。

釣り人や船、水鳥などが見られて、気持ちがなごみますよ。

瀬田の唐橋と桜

暖冬の影響で、この桜だけ一足早くに桜が咲いていました。

瀬田の唐橋と桜

川沿いには他にも桜の木が植わっていたので、桜シーズンにはまた美しい景色が見られると思います。

瀬田川のさんぽ道もおすすめ

瀬田川沿いには「瀬田川ぐるりさんぽ道」が設けられています。瀬田の唐橋から南郷洗堰(なんごうあらいぜき)まで3.8kmだそうです。
犬の散歩をしている人や魚釣りを楽しむ人などの姿がたくさん見られました。

瀬田川ぐるりさんぽ道

瀬田の唐橋の擬宝珠

瀬田の唐橋は何度も架けかえられてきましたが、擬宝珠は代々受け継がれているそうです。

瀬田の唐橋

こちらが擬宝珠
擬宝珠

瀬田の唐橋の場所と行き方

瀬田の唐橋は大津市瀬田1丁目にあります。橋の東側には建部大社が、西側には石山寺などがあります。

瀬田の唐橋

瀬田の唐橋の駐車場

瀬田の唐橋周辺にはあまり大きな駐車場はありません。交通量が多いところなので、駐車場を探しながらの運転は危険です。

電車で行く場合は京阪電車 唐橋前駅で下車すると歩いてすぐ行けます。

唐橋前駅はとても小さな駅で、下りたらすぐに案内の看板があります。

(京阪 唐橋前駅)
京阪 唐橋前駅

駅前にある案内板
瀬田の唐橋 案内板

瀬田の唐橋の地図

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