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滋賀院門跡(滋賀県大津市)を紹介|ご本尊、写経、庭園、御朱印など見どころいっぱい

滋賀院門跡(しがいんもんぜき)は歴代天皇家とゆかりのある京都・法勝寺から建物を移築した寺院です。

比叡山延暦寺の僧侶が里で暮らす里坊の総本山的な位置づけを持っていました。

織田信長の比叡山焼き討ちの後は、天海(てんかい)大僧正が復興に力を入れました。

今回は、そんな滋賀院門跡についてご紹介します。

目次

滋賀院門跡とは

まず門跡(もんぜき)とは何かについてご説明しましょう。

門跡は門跡寺院とも呼ばれます。

もともとは仏教の開祖の教えを継ぐ僧や、その僧が住む寺院のことを「門跡」と呼んだそうです。

次第に皇室や皇族、貴族など位が高い人が住職を務めるようになりました。

門跡の始まりは宇田天皇が仁和寺(にんなじ・京都市)に入り、「御室御所(おむろごしょ)」と称され、「御室門跡」と呼ばれたことによるそうです。

滋賀院門跡は創設者である天海大僧正が、後陽成(ごようぜい)天皇から京都にある法勝寺(ほっしょうじ)の建物をいただき、この土地に移転したことが始まりです。

その後、御水尾天皇から「滋賀院」という名前がくだされました。

明治時代に火災で全焼

しかし、京都から運ばれた寺院は明治11年の火災で全焼してしまいます。

そこで比叡山延暦寺にあった建物を移築しました。

現在はその当時の建物となっています。

滋賀院門跡は比叡山の里坊の本坊

比叡山延暦寺には多くの僧が住んでいました。

この住まいを「山坊」と呼び、毎日厳しい修行をしますが、高齢になった僧や病弱な僧は山を下りて里に住まいを持って暮らすようになりました。

これを「里坊」と呼びます。

現在もいくつかの里坊は庭園や内部を公開していますが、とても美しいものです。

坂本地区には比叡山延暦寺の里坊がたくさんあり、坂本地区の里坊の本坊(総まとめ)の存在が滋賀院門跡なのです。

滋賀院門跡の建物

滋賀院門跡入り口

滋賀院門跡がある坂本には穴太衆(あのうしゅう)という石垣作りの名人が住んでいて、各地の城の石垣を手がけました。

坂本の街や滋賀院門跡の建物にも、穴太衆による美しい石垣が積まれています。

滋賀院門跡の常設展示

滋賀院門跡は、天海大僧正に関するものやこの地区に関するものなどを展示しています。

不滅の法灯

不滅の法灯

受付を済ませて中に進むとまず目に入るのが「不滅の法灯」です。

これは比叡山延暦寺の根本中堂(こんぽんちゅうどう)で1200年前から絶やさず灯されているものを分灯したものだそうです。

千年油といって皿に油を入れて灯芯を浸して灯りをつけています。

この油が切れると灯りも切れるため「常に油を切らさないように注意せよ」ということから「油断大敵」ということわざが生まれました。

天海大僧正の鎧

天海大僧正の鎧

天海大僧正の鎧と兜が展示されていますが、これは布と紙で作られています。

実戦用ではなく儀式用だと考えられています。

お香の燃える速度で時間を測る「常香盤(じょうこうばん)」

常香盤

これは「常香盤(じょうこうばん)」と呼ばれるもので、寺院などで使用されていた時計の役割をするものです。

灰を4つの部分に区切って、その上に香を乗せます。

1区切りが燃えると約5時間経過したということがわかります。

現在は参拝者に安らかな気持ちになっていただくように…ということで香を焚いているそうです。

葵の紋付き経巻立て

葵の紋入り経巻立て

経巻立てとは法華経が書かれた巻物を立てるもので、経のひとつひとつに葵のご紋が入っています。

これは法華経10巻で、それぞれの巻について師匠と問答形式で経を学ぶときに師匠の僧(読師(どくし)の前に経立てを置いて経の名前を読み上げて確認するものだそうです。

こういったものからも徳川幕府と深いつながりがあることがわかります。

ほかにも徳川家から拝領した文箱(ふばこ)や明治初期まで座主を務めた宮様が使用された写経を納めた箱なども展示されています。

文箱

これらの展示品は拝観料500円で見ることができます。

滋賀院門跡の写経

滋賀院門跡 写経

内仏殿、窓に面した場所に写経スペースが設けられています。

般若心経(約30分~50分)、舎利礼文(しゃりらいもん)(約10~20分)のどちらかを選べます。

上からなぞれる用紙が準備されているので、こちらで写経をして受付で奉納料として1000円以上を納めます。

舎利礼文は72文字なので、時間がないという方におすすめです。

滋賀院門跡 写経スペース

滋賀院門跡の内仏殿から三上山が見える!

滋賀院門跡 三上山

内仏殿の窓からは琵琶湖の向こうにある三上(みかみ)山が見えます。三上山は「近江富士」とも呼ばれる美しい山です。

少しアップにするとこんな感じです。

滋賀院門跡 三上山

滋賀院門跡の内仏殿のご本尊・薬師如来は比叡山延暦寺の根本中堂の薬師如来と同じ方向を向いているそうです。

そして、延暦寺根本中堂と滋賀院門跡を線で結んだ延長線上に三上山が位置しているのだとか。

滋賀院門跡を参拝されたら、ぜひ内仏殿の窓から三上山を見てみてください。

滋賀院門跡の庭園

滋賀院門跡 庭園

滋賀院門跡には小堀遠州作の庭園があります。

小堀遠州は滋賀県長浜市の出身で、各地の多くの庭園を手がけています。

坂本には多くの里坊がありますが、この滋賀院門跡や竹林院、律院など9ヶ所の庭園が「国指定名勝」に指定されています。

滋賀院門跡 庭園

ここにはいくつかの部屋があり、すべて庭園に面していますが、どの部屋から見てもひとつの絵のように完成されていて、また廊下から庭園全体を見ても完成された絵のように見えると言われています。

滋賀院門跡の御朱印

滋賀院門跡 御朱印

滋賀院門跡で御朱印をいただきました。

ここは「びわ湖百八霊場」の第九番なので、私はそちらの御朱印をお願いしましたが、普通の御朱印も用意されています。

受付で先にお金(300円)を納めて御朱印帳を渡しておくと、帰りに受け取ることができます。

このように滋賀院門跡は歴史があり、比叡山延暦寺や徳川幕府とのつながりも深いところです。

滋賀院門跡の基本情報

滋賀院門跡の案内

滋賀院門跡の基本情報です。

  • 住所:滋賀県大津市坂本4丁目6-1
  • 電話番号:077-578-0130
  • 拝観料:500円
  • 最寄り駅:京阪電鉄 坂本比叡山口駅から徒歩5分

近くの坂本観光案内所の駐車場に車を止めて歩いて行く方法もあります。

駐車場代は無料で、歩いても5分ほどなので、坂本の石積みの景色を眺めながら歩いて行かれるといいです。

観光案内所の駐車場から日吉大社の方に向かって歩いて行くと左側に「滋賀院門跡」の看板が見えるので、すぐにわかります。

滋賀院門跡まとめ

滋賀院門跡 庭園

今回は、滋賀院門跡についてご紹介しました。

見ごたえのある展示物や景色も多いので、興味を持った方はぜひ行ってみてくださいね。

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