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NHK朝ドラ「スカーレット」のロケ地 登り窯のある宗陶苑(そうとうえん)を見学

2019年秋から始まるNHK朝ドラ「スカーレット」のロケ地の滋賀県甲賀市信楽町。

信楽町には、今も使われている「登り窯」のある陶器会社「宗陶苑(そうとうえん)」があります。

事務所に声をかければ誰でも気軽に無料で見学ができます。

先日、登り窯を見学させてもらったので、その様子をご紹介します。

目次

登り窯とは

のぼり窯
宗陶苑のパンフレットより

登り窯とは山の斜面に焼物を入れる部屋のような穴をいくつも作り、入口の窯から薪(まき)にする木材を入れて火を焚いてその熱で焼き上げるものです。

薪は赤松を使用しています。

こちらは別の窯元ののぼり窯の説明の図をお借りしました。(写真撮影の許可を得ています)

のぼり窯


このようにいくつもの部屋があり、それぞれの部屋に焼きたいものを入れていきます。

登り窯の温度は1000℃以上

登り窯の温度は1200℃~1300℃くらいになります。

のぼり窯の窯焚き

ドラマ「スカーレット」ではドラマ用の窯を作成

NHKのドラマ「スカーレット」では、撮影用にわざわざ本物の窯を作ったそうです。

登り窯のような大きなものではありませんが、本当に火を入れて1300℃近くになったようです。

その模様をNHKの予告でやっていましたが、窯の前に立つとものすごい熱気があるようですね。

「スカーレット」のロケが行われた登り窯

では、ドラマ「スカーレット」のロケに使われた登り窯を紹介します。

正面から見ると、このような穴が開いています。これを「焚口」と呼びます。

のぼり窯

ここから薪(まき)を入れて焼いていきます。

薪は赤松が使われることが多いのですが、赤松には樹脂が多く含まれていて、火力が強いことがその理由です。

今の時期はお休みの期間なのでこのように白いですが、2月と8月には火が入ります。

窯の周囲には多くの薪(まき)

窯の周囲には多くの薪が積み上げられています。

のぼり窯

そして、横に回ると段々に上に窯が上がるように作られていることがわかります。

山の斜面を利用しているという証しですね。

のぼり窯

上から見下ろした様子です。

イモムシのようにも見えますね。

のぼり窯

火や熱が通る穴

のぼり窯

登り窯の各部屋の下部には、穴がいくつも開いています。

これは熱や火が通るものです。

また登り窯の側面にも穴が開いていて、ここから中の様子を見たり、薪を足したりします。

登り窯を外部の上から見るとこのようになっています。

本当に山の斜面なんだなということがわかります。

のぼり窯

今でも使われている登り窯

のぼり窯

作業場には多くの道具や作品が無造作に置かれています。

宗陶苑の登り窯は今でも使われていて、2月と8月に火が入ります。

のぼり窯
倉庫の内部

登り窯の工程

登り窯で信楽焼きができるまでには、多くの工程を経ています。

  1. 窯の中に棚を作って、これから焼く作品を並べる……40日
  2. 窯に火を入れて焼く……7昼夜~10昼夜
  3. 窯をさます……3日
  4. 窯出し……焼き上がった作品を取り出す 
  5. 窯の補修

窯の中に棚を組んで作品を並べるだけでも1ヶ月以上かかるとは驚きですね!

窯は奥の部屋になるほど天井が高く、大きくなっていきます。

そのため、窯口に近い部屋には茶碗や小皿などの小さなものを入れ、次第に大きなものを入れていきます。一番奥の大きい部屋には大型のつぼやたぬきなどを入れます。

並べる手間はかかりますが、一度に多くのものを焼けるというメリットがあります。

現在は使われていない登り窯も

信楽町には他にもいくつかの登り窯がありますが、煙の害などから現在では使われていません。

信楽町内でも宗陶苑の登り窯だけが使われているそうです。

宗陶苑は広い敷地で、小高い丘の上にあるため、他の窯のようにご近所に煙の害などで気を使わなくても良かったという点が幸いしかのかも知れませんね。

宗陶苑はまだ実際に使われている登り窯

宗陶苑

この宗陶苑は実際に使われている登り窯であり、日本でも最大規模、江戸時代から使われているという歴史あるものです。

また、敷地が広いこと、作業されている建物もちょっと古い感じで、それが終戦直後というドラマの時代背景にもぴったりです。

宗陶苑

こちらは陶芸教室ですが、いい感じに歴史を感じます。

宗陶苑の人もエキストラでドラマに登場!?

宗陶苑の職人さんやスタッフの方もエキストラとしてドラマ「スカーレット」に登場される(かも知れない)とのことです。

どこで出演されるのか、楽しみです。

宗陶苑の登り窯の見学方法

のぼり窯

もうロケは終わっていますが、実際にドラマにも使われた登り窯は宗陶苑さんに申し出れば見学できます。

事前に電話でお願いするか、直接事務所に行って「見学してもいいですか?」と聞けばOKです。

宗陶苑の事務所は広い駐車場の前にあります。

写真撮影もOKですが、無断での見学や無断での撮影は禁止されています。

職人さんに声をかけないのがルール

登り窯

宗陶苑さんに限らないことですが、こういった窯元や作業場を見学させてもらう場合は職人さんに質問したり、声をかけたりすることはNGです。

声をかけると気が散りますし、作業の手を止めなければなりません。

もし見学に行かれる場合は、ルールを守って見学させてもらいましょう。

登り窯は一見の価値あり!

ドラマのロケに使われたというだけでなく、信楽の陶芸を見る上でも、ぜひ登り窯は一度は見ておくといいと思いますよ。

宗陶苑さんの登り窯は歴史もあるものだけに一見の価値ありです。

ただ、職人さんが少なくなってきているとおっしゃっていたのが心配です。

長く続いてほしいと願うばかりです。

宗陶苑の場所

電話番号: 050-3391-4354
住所:滋賀県甲賀市信楽町長野1423-13

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